…とタイトルにしたけれど、抵抗がある。
と云うのは僕は所謂Rap、つまりアフリカ系アメリカ人のものを殆ど聴いていないからだ。
殆ど全てアフリカ系フランス人達によるものなので、もしかしたらWorld Musicとすべきかも知れない。
かと云ってRap Franceとするには、僕はまだまだ玉石の石を聴いていない。
かなり中途半端だとは思うけれど…それでもBest5です。。。
今年、何よりも心に深く届いた音楽。ジャンル無関係に共鳴した音。
MokobeのMon Africaだ。

在仏アフリカ人Mokobeが、アフリカに住む様々なミュージシャンと作っていく。
豊穣な音を作る在アフリカ人の音に載せたMokobeのフロウ。
フランスには居場所はなく、かといって帰るべき家郷はない。
その痛切な悲しみは何時聴いても身を裂く。

或いは
Beni Snassen。
顔を思い切りコンクリートで擦りつけた後の傷口を音楽にするだけの力を求める。
現実に摩滅しないだけの強度を持ったラヴソングこそ音楽に相応しいだろう。
部屋の中で自閉し、自閉回路の中の空洞をナルシズムで擽るようなものではない。
その強度を僕は感じた。
このアルバムと同じ位、良いなと
Wallenの新しいアルバムMiséricordeに感じた。

こうした強度は全身全霊で何かを信じた者達だけが出せるものだと思う。
では激しい悲しみをフロウできるのは家郷を失った者、或いはマイナリティーだけかと云えばそんなことはない。

それは
ROUDAのリリックにも感じる。
世界史の枠組みで出来た舞台がなくとも、行き場のない者達はいる。
それは日本のラッパー達にも是非感じて欲しいものだ。
Grand Corps Maladeも良かったと思う。
しかし今一つ音が固かった気がした。
バックトラックに十分にリリックが乗っていない気がしたのだ。
勿論これは好みの問題だろう。

ではラップは悲しみだけしか表せないのか?
希望や未来を切り開くフロウはあり得ない、ことはない。
それは
The Streetsが解答を示している。
しかし日本ではどうにもこうならない。
自分探しをしろ、傷を舐め合え、ポジティヴであれという新興宗教みたいな音と繋がるのはどうしてだろう。
自然体で、妙にアーティスティックではなく、決してJazzyやメロウに逃げることのない音は難しいのだろうか。
そこでやはり逆説的にだけど
ANARCHYのROB THE WORLDを挙げたい。

BIG Joeも此処に入れるべきだろうけれど、僕は彼の音はRapやHip Hopという枠組み以上の音として受け止めた。

ただANARCHYやBIG Joeの今年の活動はREALとは何かを叩きつけたと僕は思う。
頭の中のゲームは終わったと僕は思っている。
実はその気持ちは三十年以上前から思っていた。
技術を越える衝動、Passionを全肯定してきた。
しかしそれも「センス」という言葉に還元される趣味の問題に戻ってしまった。
僕はANARCHYとBIG Joeにはピストルズを初めて聴いた頃を思い出させた。
BIG Joeは来年は出獄だ。来年以降の活動もフォローしたいと思う。
補足
昨日から繰り返し
Abd Al MalikのDANTEを聴いている。
しかし未だ圧倒的に聴く量が足らないので、繰り返し聴いた他のアルバムとは同様には受け止められないと思い割愛した。
現時点では通して十回程度しか聴いていない。
今、思うこと。
オーケストレーションが素晴らしく、前回のジャズ的要素よりもシャンソン的な部分が目立つこと。
深みはある。
そういう意味では何時までも聴き続けられる音だ。
しかし身も心も持っていってしまったかのような前作には届いていない。
というか、別のベクトルのアルバムだ。